集中と非集中
たまたま聞いていたラジオで先週こんな話題が出ておりました。
話題の提供者は 関西大学客員教授 越前谷俵太先生です。
ハーバード大学で行われた有名な実験に「見えないゴリラ」というのがあります。
バスケットボールで、白いユニホームを着た3名の選手と、黒いユニホームの選手3人がそれぞれのチーム内でパスをします。
映像を見る人に前もって「白いユニホームを着たチームが何回パスをしたか、数えてください」との指示が出ます。
映像がスタートして数十秒経ったころ、ゴリラの着ぐるみを来た人物が入ってきて、胸をたたくポーズなどをしてゆっくりと画面から出ていきました。
映像が終わって、何回パスをしたかと聞いた後、「ところで、ゴリラに気づきましたか?」とたずねると約半数の人が気付かなかった!というです。
この実験の場合、見えなかったのはゴリラでした。人生でもっと重要なものを見失ってはいませんか?というのです。
日常生活で考えますと、家族と楽しい時間を過ごすために、仕事を頑張る。仕事を頑張るために夜遅く帰宅したり休みの日も仕事に出たりして、結局、家族と過ごす時間がなくなってしまう。
本末転倒といわざるをえないが、こうなってしまっている人がいかに多いか。
勉強の効果を高めるためにまとめノートを作る。作っている間にレイアウトや色使いなど工夫をしてよりわかりやすいノートまとめをしようとする。美しいまとめノート作りが目的となって、それを暗記に使う時間が無くなる…。
一つのことに集中すことはとても大切、特に勉強や読書、考え事などは集中しないと頭に入りません。しかし、一つのことに集中するあまり、周りのことが見えづらくなってしまってはいないでしょうか。見えなくなってしまうのが着ぐるみのゴリラでしたら大勢に影響はないのですが、より価値の高いものを見失ってしまっては、その損失は計り知れません。
対象に集中する視点と、全体を俯瞰する視点、時と場合に応じて、この2つの視点を上手に使い分ける。
越前谷先生はそのコーナーを次の言葉で締めくくっていました。
「こだわってもいいが、囚われてはいけない。」
自戒を込めて、気を付けたいと思いました。